メディカルハーブと自然治癒力の関係
みなさんは、ハーブといえば何を思い浮かべるでしょうか?
「眠れないときにハーブティを飲む」「リフレッシュしたいときに香りを楽しむ」という人もいるでしょう。ハーブはメディカルハーブというものがあり、毎日の健康維持や病気の予防・治療にも使われます。今回は、ハーブの自然治癒力についてご紹介します。
メディカルハーブとは
メディカルハーブとは、健康維持、病気の予防・治療、美容などに使われる薬草(ハーブ)のことです。メディカルハーブを使った方法を「植物療法」(フィトケミカル)と呼びます。
植物療法は、医療機関でおこなわれている現代医学とは異なったものです。
現代医学は、血液検査・尿検査・レントゲンなどの検査の結果をもとに病名を決めます。その病名をもとに、その人の身体にあった薬を処方します。
一方で植物療法はハーブ・薬草などを使って、身体の一部を治すのを目標にするのではなく、自然治癒力を使ってココロとカラダを整える方法のことをいいます。
自然治癒力の高い人は免疫力が高く外からの刺激にも強いため、身体全体のバランスがとれています。
またバランスが少し崩れても軽い症状で済んでしまうこともあります。
一方で、自然治癒力の低い人は、外からの刺激に弱いため、食事のバランスが悪かったり、ストレスがたまったりすると不調を起こしてしまいます。
メディカルハーブは、身体全体を整えること目標としているため、健康を維持するだけでなく、身体の不調を感じている方にも利用できます。
メディカルハーブの歴史
自然療法で使われるメディカルハーブは、長い歴史があります。
古代エジプト時代には、約700種類のハーブがあったと記録されています。
古代ギリシア時代には、医師ヒポクラテスは約300種類ものハーブの処方をまとめたと書かれていました。
ヒポクラテスが考えた「体液病理学」には、人間の体内の中には「血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁」があり、身体の中を流れるこれらの体液のバランスが崩れたときに病気になると考えられていました。
身体の調子が悪くなる原因は、環境・生活習慣・体質だと書かれています。
この考えは、中医学と似ている部分があり、健康を維持するためには、それぞれの人の体質に合わせたハーブや薬草などを利用することが大切だと考えられています。
最近では、医薬品だけに頼るという考えをあらためる人が増えました。
ハーブなど自然の植物を使ってゆっくりと治していきたい、毎日の生活を改善し身体の調子を整えていきたいという方が増えています。
参照:九州大学
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/hp_db_f/igaku/exhibitions/2007/exhib1.htm
メディカルハーブと医薬品の違い
メディカルハーブを利用した植物療法は、身体全体をととのえます。
例えば、冷え性の場合、西洋医学では病名がつかなければ治療はおこなわれないことが多いです。
一方で植物療法では、身体の冷えが起こる原因は何かを考えます。
例えば、ストレスが原因のときは、カモミールなどで身体の緊張をゆるめます。
また、身体の冷えが原因のときは、ハーブティにシナモンを入れることもあります。
いくつかのハーブを組み合わせることで、そのときの状態に合わせて身体全体のバランスを整えることができるのです。
ただし、ハーブは薬に比べると作用はおだやかです。
西洋医学・植物療法はどちらも良いところがあります。
それぞれの得意分野を活かしていくことも必要です。
また、日本では植物療法を利用している医療機関はまだまだ少ないのが現状です。
ところが、ヨーロッパでは植物療法をメインとした医療機関があります。
日本では、医療機関だけでなく介護施設でもとりいれています。
医療機関で利用されている医薬品は、メディカルハーブがルーツであるものもあります。
とくに、漢方薬は、メディカルハーブと同じ考えをもとに作られてきたものも多数あります。
ちなみに漢方薬は、メディカルハーブと同じ植物を使いますが、動物(鹿の角など)・鉱物(石膏など)も使います。
植物療法と漢方は、ハーブや食材を使うなど似ているところが多数あります。
ハーブにはどんな力がある?
メディカルハーブには、次のような効果があります。
・自然治癒力を高める
健康を維持するためには、自然治癒力を高めることが大切です。
自然治癒力とは、身体の外から入るウイルスや細菌などの病原体から身体を守ることです。
これらの異物が身体の中に入ってくると、免疫力が低ければ風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
また、ハーブを利用することで、心や身体の疲れなどをいやすことができます。
もし、病気になってしまっても、もともと持っている免疫力が高いため回復するのが早くなります。
ハーブで使われている「エキナセア」は免疫力を高めるハーブとしても有名です。
・抗酸化作用がある
抗酸化とは、身体の酸化を抑えることです。
身体が酸化すると、病気になりやすくなり、老化も進んでいくと考えられています。
ストレスの多い生活・激しい運動を続ける・栄養バランスのよくない食事を続けると、身体の酸化は進んでいきます。
また、加齢も酸化が進む原因です。ハーブには、酸化を抑える作用があります。自分の身体にあったハーブを利用することは健康維持にもつながるのです。
・栄養を補給できる
メディカルハーブは、身体の中で不足している栄養を補うことができます。
例えば、料理に飾り付けに使われるハーブ、飲み物のハーブティは、香りをよくするだけでなく、身体の栄養を補充するために使われることもあります。
例えば、オレガノは煮込み料理に使われるハーブでスッキリとした香りを感じることができます。
オレガノにはビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、アンチエイジングにも利用されます。
このように、普段の食事や飲み物から取り入れることにより健康維持にもつなげます。
・心身の状態を整える
ハーブティの香りは、脳に働きかけます。
興奮した気持ちをリラックスさせたり、頭をシャキッとした気持ちにさせることもできます。
心身の状態を整えるためには、身体のバランスを整えることが大切です。
身体のバランスを整えるために必要な自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
交感神経は、活動的なときや、緊張しているとき優位になります。
副交感神経はリラックスしているときや身体の緊張がほぐれているときに優位になります。
これらのバランスが崩れてしまうと体調が悪くなってしまうことがあります。
交感神経・副交感神経を優位にするためにもハーブは使われます。
・ホルモンバランスを整える
女性の悩みで多いのは、ホルモンバランスの乱れです。
女性は、生理・妊娠・更年期など身体の不調に悩む方が多いため、できるだけ普段の生活の中で改善したいと思っている方がたくさんいます。
ホルモンバランスを整えるためには、ストレスや身体の冷え、疲れなどから身体を守っていかなくてはいけません。
だからといって、仕事を辞めるというのは難しいでしょう。
このような場合も、体調に合わせてハーブを選んでいくことができます。
自然治癒力を高めるには
健康を維持するためには、普段の生活習慣も大切です。生活の中にハーブをおぎないながら少しずつ身体の調子を整えていきましょう。
・よく眠る
身体の体調を整えるには、身体を休めることが大切です。
メディカルハーブで整えていくためには、身体の土台を整えなければいけません。
メディカルハーブだけで体調を整えることは難しいからです。
睡眠の質を高めるためには、静かな環境・快適な温度・部屋の明るさが大切です。
音については、全く音が聞こえない方が眠れる方や少し音楽が聞こえる方が眠りやすい方がいます。
また、寒すぎたり暑すぎたりしても眠れません。エアコンなどうまく利用します。
また目に入る光は睡眠の質を下げます。真っ暗にするか、豆電球にするかなど快適な環境を整えることは大切です。
できれば、夜は身体の緊張をほぐすために、スマホは控える、電気は間接照明にする、食事は寝る3時間前にとるなどが大切です。
また、朝太陽の光を浴びるとよく眠れます。
・身体を温める
女性は身体の冷えが原因で不調を起こす人がたくさんいます。
体温が下がると身体の中の血行が悪くなり、免疫力は低下すると考えられているからです。
そのため、身体の中にウイルスや細菌などの異物が入ると病気にかかりやすくなります。
健康を維持するためには、免疫力をあげなくてはいけません。
そのためには、体温を正常な温度に保つことも大切なのです。
女性は体の筋肉量が少ないため身体が冷えやすいと考えられています。
身体が冷える原因のひとつに運動不足が考えられます。
筋肉量を増やすためには、適度な運動から始めることが大切です。
例えば、家から駅まで毎日歩くなどです。その他にも、スクワットも効果が期待できます。
また、毎日必ずお風呂にはいってじっくり身体を温めることも大切です。
ハーブを使った入浴剤で身体を温めながら、香りを楽しむこともできます。
さらに、身体が冷えるときは、足首・手首・首の3首を温めるのをおすすめします。
3首には血管が集まっているため、身体全体を温めることができます。
・ストレスを遠ざける
ストレスを遠ざけるためには、自分の好きな趣味に没頭することです。
ストレスが多い生活を続けると、自然治癒力が低くなります。
例えば、会社で上司に怒られたなど嫌なことがあったときは、身体にどのような変化があるでしょうか?胃が痛くなったり、元気がなくなったりすることがあります。
ストレスの影響を受けやすい人は、真面目で几帳面または完璧主義の人に多いといわれています。
ストレスを遠ざけるためには、ストレスの元となるものを遠ざけなければいけません。
好きな音楽を聞いてみたり、思いっきり運動してみたりするのもいでしょう。
身体の血行がよくなり、気持ち的にも開放的になることができます。
また、ハーブの香りを利用するのもいいでしょう。
レモンなどの柑橘系の香りは、不安やイライラを解消することができます。
気分が落ち着かないときは、ラベンダーも利用できます。
・バランスのとれた食事をする
身体のバランスを整えるために大切なのは、毎日の食事です。
健康的な生活を実現するためには、そのときの体調に合わせた食事をとることが必要です。
栄養バランスのとれた食事とは、主食・主菜・副菜を揃えることです。
好きなものをお腹いっぱいに食べる・ご飯・パンなどの炭水化物が好きといった方は注意が必要です。
同じものを食べ続けると、健康を維持するためのビタミンやミネラルなどがとれなくなってしまいます。
また、健康を維持するためには、そのときの体調に合わせて食材を選んでいくことも必要です。
例えば、口内炎の方は、ブロッコリーなどビタミンBの豊富な野菜をとります。
また、目が疲れたときは、ブルーベリーに含まれているアントシアンをとります。
こうした毎日の食生活は、免疫力を高くし病気になりにくい身体を目指すことができるのです。
自然治癒力を高めるには、毎日の生活の中にハーブを
健康を維持するためには、心と身体の調子を整えることが大切です。
そのためには、メディカルハーブを使ったり、ストレスをとおざけたり、身体を温めたりするなど、そのときの体調にあわせたものを利用していきましょう。